主任。

なんでシゴトがいっぱいいっぱいなときって涙が出るんだろう。

　悔しい？さみしい？忙しい？苦しい？

どんなコトバでも形容できない、あたしの中の感情。

いつもみたいな「自分のせいでしょ」って自己暗示すらない、闇の感情。

これさえ終われば、両手いっぱいに達成感っていうご褒美を得るはずなのに
今のあたしはそんなことも考えられないくらい、思考回路が止まっている。
やってもやっても終わりの見えない絶望の淵で、ただ遠くを見つめている。

あぁ、そういえば以前、これをアナタに言えなくて泣いたっけ。
シゴトのことだから、違う人に言って泣かせたっけ。

そんな思い出を振り返ったところで、一瞬のヒカリなんて見えるハズない。
逆にどんどん落ち込んでいくだけ。知ってるでしょ？


こんなあたしに、泣きそうな顔で帰る主任を見上げるあたしに、
主任は「今はいろいろ重なったなぁ」とさりげない一言をくれた。
今、このタイミングでしかそのコトバに魔法はかからない。
それは、こんなやさぐれたあたしを、一瞬にして包み込んで潤してくれる
大きな大きな水滴のようで、あたしには最高のご褒美だったんだ。

こんなあたしのことを、センパイは「いくらなんでもあれはねぇ？」とウワサする。
直接同情するわけじゃないから、あたしはイヤな子にならなくて済む
ちゃんと想ってるって気持ちを知れたときから、そのハナシの細い糸は
あたしを甘美な香りのする空間へと連れ去ってくれたんだ。

ふたりの愛し方は、あたしにナミダという方法でご褒美をくれる。
自分の限界までがんばらさす。
一見スパルタのようだけど、あたしはふたりの愛情を知っている。
だからダイジョウブ。あたしはがんばれる。

今晩はいい夢が見れますように。